近年、「NFT」という言葉を耳にする機会が増えましたが、特に注目されているのが「NFT電子書籍」です。
これまで電子書籍といえば、単にデジタル形式で本を読むものでしたが、NFT技術の導入によって、電子書籍の世界が大きく変わりつつあります。
電子書籍が資産になるってどういうこと?
と疑問に思う方も多いでしょう。
電子書籍を「所有する」という新たな概念が生まれたことで、著者や読者にとってさまざまなメリットが生まれています。
しかし、その一方で、
NFTって何?
どうやって始めたらいいの?
といった不安や疑問を感じる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、そんな初心者のために、NFT電子書籍の基本的な仕組みやその魅力、具体的な事例までをわかりやすく解説します。
この記事を読むことで、NFT電子書籍についての理解が深まり、新たな読書体験を始めるきっかけになるかもしれません。
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NFT電子書籍とは
NFTはブロックチェーン技術を用いてデジタルコンテンツに一意の識別情報を付与するもので、そのコンテンツが唯一無二であることを証明します。
そのため、NFT電子書籍を購入すると、その電子書籍に対して独自の所有権を持つことができます。
その結果、従来の電子書籍にはなかった「資産としての価値」が生まれ、新たな読書体験を提供します。
唯一無二の所有権
NFT電子書籍には個別の識別コード(トークンID)が割り当てられています。
このトークンIDはブロックチェーン上に記録されるため、デジタルでありながらその書籍が「誰のものか」が明確にされます。
例えば、特定のNFT電子書籍を購入すれば、そのデータはあなただけの所有物として、他のどこにも同じものが存在しないことが保証されます。
再販売や譲渡が可能
従来の電子書籍は、購入後に他人に譲渡したり、中古として売ったりすることができませんでした。
しかし、NFT電子書籍は所有権を伴うため、購入者が自身の判断で再販売することができます。
例えば、NFT電子書籍のプラットフォーム上で売買が可能で、その価値が上がることもあります。
このことから、電子書籍にも物理的な本と同様に「中古市場」が生まれています。
著作権の保護と還元
NFT電子書籍は、著作権者に利益を還元する新しい仕組みがあります。
ブロックチェーン技術を通じて、初回販売時だけでなく、再販売の際にも著者に一定の収益が自動的に還元される設定が可能です。
例えば、あなたが読み終えた本を、メルカリやブックオフで販売した時、売上はすべてあなたのものですよね?
しかしNFT電子書籍の場合、再販するたびに売上の一部が作者(著作権者)に還元される仕組みがあるんです。
還元される仕組みについては「NFTのロイヤリティとは?二次流通でもクリエイターに還元される仕組み」を参考にしてください。
NFTと電子書籍の関係
NFTは、デジタルアイテムの所有権を証明するための技術です。
そのため、所有権の移転が透明で追跡可能となり、電子書籍市場に新しい価値と可能性が広がりました。
電子書籍の資産化
NFT技術によって、電子書籍が単なるデータではなく、収集や投資の対象としての価値を持つ「デジタル資産」として扱われます。
例えば、数が少ないものなど希少価値の高いNFT電子書籍は、その限定性からコレクターの注目を集め、購入価格より高値で売買されることもあります。
取引の透明性
ブロックチェーン技術を活用することで、NFT電子書籍の取引履歴は公開され、改ざんされることがありません。
この技術により、購入者は電子書籍の出所や所有者の履歴を簡単に確認できます。
例えば、あるNFT電子書籍が誰から誰に売られたのか、その全ての取引履歴がブロックチェーン上に記録されるため、安心して取引ができます。
所有するという満足感
NFT電子書籍は、デジタルの世界においても「所有する」ことの満足感を提供します。
従来の電子書籍とは違い、NFTであれば実際に「自分のもの」と感じることができます。
例えば、限定版のNFT電子書籍を持つことで、所有者は他の誰も持っていない特別な価値を感じることができるんです。
NFT電子書籍の仕組み
NFT電子書籍の仕組みは、ブロックチェーン技術によって支えられています。
これを利用することで、NFT電子書籍には唯一無二の所有権が保証されます。
所有権の証明はブロックチェーン上に記録され、電子書籍を所有する人が誰なのか、またその取引履歴も透明に確認できるのです。
したがって、NFT電子書籍は通常の電子書籍よりも多くの可能性を持ち、新たな市場を形成しています。
ブロックチェーン技術の活用
ブロックチェーンは分散型のデジタル台帳で、取引データを不正に操作することができない仕組みです。
NFT電子書籍は、この技術を使って所有権を記録し、その書籍が誰のものかを明確にします。
例えば、特定のNFT電子書籍を購入すると、その購入情報はブロックチェーンに記録され、他人がそのデータを変更することは不可能です。
ブロックチェーンについては「ブロックチェーンとは何か?初心者向け完全ガイド」も参考にしてください。
所有権の透明性と追跡可能性
NFT電子書籍では、所有者が変わるたびにブロックチェーンにその取引が記録されるため、すべての取引履歴が公開され、誰でも確認することができます。
そのため、電子書籍の所有者が誰であるかが明確になり、盗難や不正利用のリスクを低減します。
NFT電子書籍を購入した場合、その電子書籍の前の所有者や価格の履歴を簡単に確認できるんです。
新しい市場の形成
NFT電子書籍は、従来の電子書籍にはなかった再販売や取引の可能性を生み出します。
このように新たな収入源を確保する方法として、著者や出版社にも注目されています。
例えば、NFT電子書籍の市場では、デジタルデータが中古市場で売買されることで、著者や出版社にも追加の収益が還元される仕組みが作られています。
NFT電子書籍の具体的な事例
ここでは、NFT電子書籍の具体的な事例をいくつか紹介し、その実際の使用例や特徴について見ていきましょう。
NFT電子書籍がどのように使われているのか、またその価値がどこにあるのかがより明確になります。
早川書房の「NFT電子書籍付き新書」
2023年6月、メディアドゥと早川書房が世界初となる「NFT電子書籍付き新書」を発売しました。
この取り組みには以下のような特徴があります。
- 紙の書籍に本編と同じ内容のNFT化された電子書籍が付属
- 早川書房の新レーベル「ハヤカワ新書」の創刊ラインアップ5作品で展開
- 紙の書籍価格に約400円上乗せで電子書籍版が付属
- NFT電子書籍はユーザー間で譲渡や売買が可能
この「NFT電子書籍付き新書」は、NFT電子書籍を取得できるカードが封入された紙の書籍として販売されました。
カードをスマートフォンで読み取ることで、epubフォーマットのNFT電子書籍を取得できる仕組みになっています。
メディアドゥのNFTデジタル特典
メディアドゥは2021年からNFTマーケットプレイス事業を開始し、雑誌や書籍の付加価値を高めるNFTデジタル特典の提供を拡大しています。
- 2023年12月から漫画雑誌「週刊漫画ゴラク」でNFTデジタル特典版の新連載を開始
- NFTデジタル特典は「FanTop」アプリを使って楽しむことが可能
- 2021年10月から2023年10月までの累計で、発行部数187万冊超、50社超の出版社がNFT特典を付与
NFT電子書籍の未来と可能性
NFT電子書籍は、今後のデジタル出版市場において大きな可能性を秘めています。
従来の電子書籍と異なり、NFT技術を活用することで、新たなビジネスモデルが生まれつつあります。
さらに、ブロックチェーン技術の発展に伴い、NFT電子書籍の機能や用途も広がることが期待されています。
新しい収益モデルの拡大
NFT電子書籍の導入により、著者や出版社は新しい収益源を開拓しています。
従来の電子書籍販売に加えて、NFTの所有権移転に伴う再販売手数料やロイヤリティを受け取ることができます。
その結果、クリエイターが自身の作品の価値を長期的に維持し、収益を得続けることが可能になっています。
読者体験の多様化
NFT電子書籍は、単なるデジタルコンテンツの枠を超えて、読者に独自の体験を提供します。
例えば、特定のNFT電子書籍を所有していることで、限定イベントへのアクセス権や特別なコンテンツが提供されることがあります。
このような体験は、読者にとっての電子書籍の価値をより一層高めます。
技術の進化による新たな可能性
ブロックチェーン技術の進化に伴い、NFT電子書籍の用途も広がっています。
例えば、将来的にはインタラクティブな要素を持つNFT電子書籍が登場する可能性もあり、読者が内容に対して直接的に影響を与えることができる仕組みが考えられます。
こうした技術革新は、電子書籍市場全体に新たな潮流を生むでしょう。
NFT電子書籍の購入方法
NFTつきの書籍の場合は、従来どおりに本を購入するとNFTがもらえます。
一方、NFT自体を購入する場合は、専用のプラットフォームと仮想通貨のウォレットが必要です。
ここでは、初心者でもわかりやすいように、NFT電子書籍の購入手順を解説します。
仮想通貨ウォレットの準備
まずは、NFT電子書籍の購入に必要な仮想通貨ウォレット「メタマスク」を用意しましょう。
メタマスクはNFTや仮想通貨などデジタル資産を保管するためのものです。
メタマスクを作成する際には、秘密鍵やシードフレーズを必ずメモして安全な場所に保管してください。
詳しくは、「MetaMask(メタマスク)ウォレットの導入手順|スマホ・パソコン」を参考にしてください。
仮想通貨の購入
NFT電子書籍の取引には主に仮想通貨(例えば、イーサリアム)が使用されます。
そのため、メタマスクに仮想通貨を入金する必要があります。
仮想通貨取引所でアカウントを開設し、日本円を仮想通貨に交換してウォレットに送金しましょう。
画像つきの詳しい手順は「GMOコインで暗号資産(仮想通貨)を購入する方法」で解説しているので参考にしてください。
NFTマーケットプレイスで購入
仮想通貨を準備したら、次はNFT電子書籍を取り扱うマーケットプレイス(例: OpenSea、MagicEden)にアクセスします。
マーケットプレイスで好きなNFT電子書籍を探し、購入ボタンをクリックします。
その後、ウォレットが自動的に接続され、購入手続きが進みます。
購入時にはガス代(取引手数料)が発生するため、ウォレットに十分な仮想通貨が入っているか確認しましょう。
NFTを購入する流れは、「【初心者向け】NFTの始め方ガイド」で丁寧に解説しているので、こちらも参考にしてください。
NFT電子書籍のメリットとデメリット
NFT技術の進化によって新たな価値が生まれている一方で、まだ発展途上のため、課題もいくつかあります。
ここでは、NFT電子書籍の利点と欠点について詳しく見ていきましょう。
NFT電子書籍のメリット
NFT電子書籍のメリットは以下があります。
デジタル所有権の明確化
NFT技術を活用することで、電子書籍の所有権がデジタル上で明確に証明されます。
その結果、購入者は自分が持っている電子書籍が唯一無二であることを確認でき、他者に譲渡したり再販売したりする際にも安心です。
たとえば、NFT化された電子書籍はブロックチェーンに所有者情報が記録されるため、不正な複製のリスクが低くなります。
二次流通市場の創出
NFT電子書籍の登場により、電子書籍の二次市場が形成されました。
これによって、購入した電子書籍を中古として販売することが可能になり、新しい収益モデルが生まれています。
その結果、著者やクリエイターは再販売時にもロイヤリティを得られるため、作品が売れ続ける限り収入が期待できるのです。
NFT電子書籍のデメリット
NFT電子書籍のデメリットは以下があります。
初期コストと技術的ハードル
NFT電子書籍を購入するためには、仮想通貨のウォレットを作成し、仮想通貨を購入する必要があります。
そのため、従来の電子書籍に比べて初期コストが高く、技術的なハードルもあります。
たとえば、ウォレットの設定や仮想通貨の取引に慣れていない方にとっては、手続きが複雑で難しく感じるかもしれません。
価格の変動と市場の不安定性
NFT電子書籍の取引には仮想通貨が使用されるため、その価格は仮想通貨市場の変動に影響されます。
価格が上がることもあれば下がることもあるため、資産価値が不安定になります。
そのため、購入時の価格と再販売時の価格に差が生じるリスクも存在することを理解しておきましょう。
NFT技術がもたらす新しい読書体験
NFT電子書籍は、従来の電子書籍とは異なる、革新的な読書体験を提供します。
NFT技術の導入により、電子書籍の所有権がより個別化され、コレクターズアイテムとしての価値が生まれました。
また、NFT技術によって、著者と読者の関係も深まり、直接交流することが可能となっています。
独自の所有権と収集価値
NFT電子書籍は、ブロックチェーンによって所有権が確立されるため、所有者がそのデジタルコンテンツを他者と共有することなく、唯一無二の形で保有できます。
たとえば、限定版のNFT電子書籍を所有することで、その希少性から収集価値が高まり、他のコレクターと取引する楽しみも広がります。
著者との直接的な交流
一部のNFT電子書籍は、著者との特別な交流を提供することもあります。
例えば、特定のNFT電子書籍を購入すると、著者とのオンラインチャットや、限定イベントへの招待が含まれる場合があります。
そのため、読者は単なる消費者ではなく、コミュニティの一員としてより深い関係を築くことができます。
読者参加型の新しい体験
NFT技術により、電子書籍にインタラクティブな要素を組み込むことが可能になりつつあります。
例えば、読者がストーリーの展開に影響を与える選択を行えるような電子書籍や、特定の条件を満たすと追加コンテンツがアンロックされる仕組みなどが考えられます。
このことから、読書が単なる一方的な体験ではなく、双方向のインタラクションを伴う新しい体験に進化しています。
NFT電子書籍の今後の課題と展望
技術の進化と市場の成熟が必要とされる中、NFT電子書籍はどのような展望を持つべきでしょうか。
ここでは、現在の課題と今後の可能性について考察します。
課題: 技術的なハードル
NFT電子書籍を利用するには、ブロックチェーンや仮想通貨に関する基本的な知識が必要です。
そのため、一般的な読者層にとっては技術的なハードルが高くなっているのが現状です。
例えば、仮想通貨ウォレットの作成や使い方、取引手数料の理解など、技術面での理解が求められます。
課題: 環境への影響
ブロックチェーン技術、特にその中でも「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」を使用するものは、膨大なエネルギーを消費することで知られています。
NFT電子書籍も、この技術に依存しているため、環境負荷が問題視されることがあります。
したがって、より環境に優しい技術(例えば、「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」)への移行が課題となります。
展望: 技術の進化による普及
NFT電子書籍の普及には、ユーザーがより簡単にアクセスできるように技術が進化することが必要です。
例えば、より直感的で使いやすいユーザーインターフェースを持つNFTプラットフォームの開発や、取引手数料の低減、環境に配慮したブロックチェーン技術の導入などが期待されます。
こうして、より多くの人々がNFT電子書籍にアクセスできる未来が見込まれます。
展望: 新たなビジネスモデルの確立
NFT電子書籍は、著者や出版社にとって新しい収益源を提供するだけでなく、読者との関係性を深めるためのツールとしても機能します。
そのため、独自の付加価値を持つ電子書籍や、特典コンテンツを付与した特別版の販売など、新たなビジネスモデルの開発が進むでしょう。
その結果、電子書籍市場全体の活性化が期待されます。
まとめ:NFT電子書籍の未来に期待しよう
今回の記事では、NFT電子書籍の基本的な仕組みから具体的な事例、そしてそのメリットとデメリットについて詳しく解説しました。
以下に要点をまとめます。
NFT電子書籍は、単なる技術の革新にとどまらず、読書やデジタルコンテンツの所有に対する私たちの考え方をも変えようとしています。
これからの発展が非常に楽しみな分野であり、興味を持った方はぜひ一度体験してみてください。
NFT電子書籍の世界に足を踏み入れることで、新しい可能性と価値を感じられるでしょう。